校長のことば

2024年7月の記事一覧

『最先端の学び、学びの本質とは』 令和6年7月 全校集会 校長講話 【R6.7.22】

※川北では、2学期制のため、本日は夏休み前の「7月全校集会」が実施されました。インターハイ、全国高校総合文化祭の壮行会もあり、全校をあげて送り出そうということで、暑い中ですが体育館での実施となりました。

【校長講話】

 皆さんおはようございます。7月に入ってから暑い日が続いていますが、そんな中でも各学年の校外宿泊行事、また先週の球技大会など、皆さんの力強さ(エネルギー)を感じることができ、校長としてとても頼もしく思っています。

 ただし、皆さんの中には、今の状況が辛かったり、苦しいと思っている人が少なからずいると思います。それを完全に取り除くことはできませんが、皆さんの周りには先生や友人、家族など、たくさんの人がいますから、けっして1人で抱え込まないように、周囲の人に声に出して言うことから始めてください。

 それでは今日は夏休みを迎えるにあたって3点ほど話したいと思います。まず1点目です。ちょうど1か月前に埼玉県の校長協会が主催する先進大学視察で一橋大学に行ってきました。

 一橋大学は、ドラマや映画にもなった福山雅治さんが主演の「ガリレオ」のロケでも使われた歴史ある校舎でも有名になりましたが、社会科学系の商学・経済学・法学・社会学の4学部を設置した日本を代表するトップクラスの国立大学と言って良いかと思います。

 その一橋大学が来年度、創設150周年を迎えるにあたり、その2年前の昨年、新たな5つ目の学部である「ソーシャル・データサイエンス学部」を創設しました。その新学部創設の理由が「もはやあらゆる学術領域を文系・理系で分ける時代は終わった。文理融合・共創(ともに作るという字を書く)を実現する新たな人材育成を通して日本の課題解決に挑んでいきたい」というものでした。

 さらに、現代は「ビッグデータの時代」とも言われるように様々なビッグデータから有用な情報を抽出する「データサイエンス」が社会から注目を集めていて、社会科学とデータサイエンスの「融合」による現代社会の課題解決が求められている時代へと変化している、ということも説明されていました。

 また、東京大学でも2027年の秋入学から、世界水準の研究や人材育成を目標とした、医学から文学までの幅広い文理融合型5年制の新課程を設置するという話もありました。

 このように伝統ある大学であっても、これからの時代を生き抜いていくためには、時代の最先端を常に意識することが大切だということを実感しました。

 そういう意味で、現在の川口北高校の1年生の教育課程には、3年生になった時の類型選択に「文理融合系」が設置されているということ、また、大学とまったく同じではありませんが、この類型には「データサイエンス」という科目があり、それを学べるということは、とても貴重なことだと思います。1年生にとっては、今後の類型選択に向けていろいろと考える必要があるので、今、学んでいる川口北は、そういう意味で最先端を走っているということは覚えておいてください。

 2点目は、今年度から始めた「総合的な探究の時間~いわゆる総探ゼミ」についてです。皆さんにとっても、先生方にとっても初めての取組である全学年縦割りのゼミナール方式を取り入れ、約3か月間取り組んでもらいました。まだまだ試行錯誤の段階ではありますが、皆さんに理解してもらいたいのは「学びの本質」です。

 皆さんが今まで経験してきた学習方法の多くは、誰かから教えてもらったり、テストのために覚えたり、調べるだけで終わり、というものが多かったと思います。しかし、ここで言う「学びの本質」とは、知りたいことや疑問に思うことがあれば、自ら調べ、自ら仮設や問いを立て、それを検証して身に付けるというものです。大学で研究をしている人や企業の最前線で働いている人などは、このことを当たり前のように実践していますが、皆さんの探究は上手くいっているでしょうか。

 受験勉強などとこの学びは根本的に違うので、比べることに意味はありませんが、皆さんが高校を卒業したあと、大学などでこの「学び」は必ず役に立つものです。それを先取りして、高校段階で実践しようというのが、今の川北の「総探ゼミ」になります。いままで、「学ぶ」ということを、ただ受け身の勉強することと捉えていた人は、改めて「学び」の原点について考えてみてください。

 また、探究活動の時間に、各教室を回っていると、問いに対する検証方法として「インターネット」を上げている人を結構多く見かけました、これについては、ネット情報の信頼性や危険性について、もう少し注意を払ってほしいと思います。皆さんなら聞いたことはあるとは思いますが、ネットの情報には「フェイク」もたくさんあります。また、論文などを書く時には、必ず参考文献を上げるようになっているのは、ネットの情報はその出所自体が曖昧だったり、意図的に改ざんしたり、情報操作ができてしまうものだからです。皆さんには情報の扱い方などもこの総探ゼミの中で身に付けてもらい、今後に役立ててほしいと思っています。

 3点目が一番伝えたいことですが、この夏休みの過ごし方です。特に3年生の皆さんは、コロナ禍で途絶えていた川北伝統の勉強合宿を2週間前に経験したばかりです。その時のしおりに書かれていた「合宿委員長さん」の言葉が、とても印象に残っているので皆さんに紹介します。それは「せっかく1年かけて自分の進路実現のために必死に勉強をするなら、苦しいと思いながら勉強を続けるよりも楽しみながら勉強したいと思いませんか。人生楽しんだもの勝ちという言葉もあるように、受験を前向きに考えていきましょう」というものです。このポジティブな考え方が生徒から出てきたことが、とても素晴らしいと思っています。そして、受験は団体戦と言われるように、勉強合宿でともに頑張ってきた仲間と励まし合いながら、今年の熱い受験の夏を乗り切ってください。

 春休みと同様に私からは、49期生への夏休み中の勉強時間の数値目標としてほしいのは(36日間の)「500時間」です。少し厳しめの設定ですが、特に、春先に受験勉強のスタートダッシュがうまく切れなかった人にはちょうどいい目標だと思います。1か月以上の少し長い目標ですが、目指すだけではなく実行あるのみです。途中で諦めず「第一志望合格」という高い志を持ち続けてください。

 続いて1・2年生の皆さんへの夏休みの過ごし方は、「文武両道の実践、文武両道を甘く見るな」の一点です。この夏は、部活動や北高祭の準備など、学校に関することには、とにかく熱くなってチャレンジしてください。普段の授業がある時とは違って、皆さんには思いっきり熱中できる時間があります。特に運動部の人にとっては、暑さの中で鍛え上げることはとても重要です。体調管理には十分気をつけた上で、関東大会、全国大会を目指して練習に励んでください。

 ただし、川北はあくまでも「文武両道」を掲げる学校です。それだけは譲れません。毎日、必ず勉強する習慣だけは継続してください。49期生の3年生の校長面接では、「もっと早くから基礎をやっておけば良かった」という、悔しい思いを何人もの人から聞かされました。まずは、この夏休みを無駄な夏にしないように、先輩の失敗談などを聞いて夏休み中の自分にふさわしい勉強時間を決めてください。決して「文武両道を甘く見ない」ということを肝に銘じてください。

  最後に一言。私の中では、名言のひとつですが、「夏を逃げたものは言い訳を語り、夏を戦ったものは夢を語る」と言われています。

皆さん、熱い夏を戦って素晴らしい9月を迎えましょう。その時を、楽しみに待っています。