第48回卒業証書授与式 式辞 【令和6年3月16日】
厳しい寒さも幾分やわらぎ、暖かな日差しを受け、ここ木曽呂の丘でも春の兆しを感じるこの良き日に、PTA会長 伊藤洋二様、後援会会長 木村卓史様、同窓会常任理事 佐々木雅一様の御来賓をはじめ、多数の保護者の皆様の御臨席を賜り、埼玉県立川口北高等学校 第四十八回卒業証書授与式を挙行できますことは、本校にとりまして、この上ない誇りであり喜びでございます
ただいま卒業証書を授与いたしました三百四十四名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは令和三年四月六日、本校の門を大いなる理想を抱いてくぐりました。その頃は、コロナ禍による制限がたくさんあり、本来の教育活動とは ほど遠い状況下での高校生活のスタートだったと思います。そんな中でも、皆さんは三年間、良く学び、厳しく自分を鍛え、川口北高校で大きく成長してきました。今年度に入ってからは、勉強面では、多くの人が難関大学を目指し、毎日の学習を積み重ね、よりグローバルな視点から全国レベルでの大学選択をしてきました。部活動では、陸上競技部のインターハイ出場をはじめ、文化部も運動部も切磋琢磨し、関東大会出場など高いレベルでの成績を残し、その活躍は本校の記念すべき創立五十周年の年に花を添えてくれました。これらのことは、皆さん一人ひとりの努力もさることながら、皆さんを温かく見守り支えてきた御家族や先生方、御支援を頂いている多くの皆様のお蔭でもあります。現在の自分がこの卒業の時を迎えられるのは、こうした方々の支えがあってのことだと自覚し、感謝の気持ちを忘れてはなりません。
さて、卒業にあたり二つほど話をいたします。まず一つ目は「大きな夢を持ち続けてほしい」ということです。このことについて、今年の七月から発行される新一万円札の肖像画に選ばれたことで、大きく注目された埼玉県出身の実業家「渋沢栄一」の話をしたいと思います。
「近代日本経済の父」と呼ばれた渋沢栄一は、幕末から明治期にわたる日本経済の発展には欠かせない人物の一人です。江戸幕府のヨーロッパ視察団の一員として随行し、先進的な技術や産業を見聞し、近代的な社会制度を知ったことが、のちの彼の実業家としての基盤となりました。その後、明治新政府に招かれ新しい日本の国づくりに奔走することになります。中でも、日本初の銀行や、世界遺産としても有名な富岡製糸場の設立などを手掛け、その後も五百以上の企業の創設・育成に関わりました。彼の考えは、「儲けのみを追求するのではなく、世のため人のために働いて儲ける」、つまり「公共の利益を追求することで皆が幸せになり、ひいては国が豊かになる」というものであり、こうした大きな夢を描いた実績が、今日、評価される一因になったと言われています。そんな渋沢栄一が語ったとされる名言のひとつに「夢七訓(ゆめしちくん)」があります。
夢なき者は理想なし 理想なき者は信念なし 信念なき者は計画なし
計画なき者は実行なし 実行なき者は成果なし 成果なき者は幸福なし
ゆえに幸福を求むる者は夢なかるべからず というものです。
まとめると、「幸せな人生は、夢を持つところから始まる」ということであり、皆さんにも、ぜひこれを実践してもらいたいと思います。
これからの世の中は、生成AIをはじめとするさまざまな新しい技術が発達し、人間の考え方や生き方そのものを変える新たなフェーズに入ると予測されます。現在ある職業は、その半分近くがなくなり、皆さんの働き方などが大きく変わるとも言われています。大学進学や、就職だけがゴールではありません。渋沢栄一の言うように、生涯大きな夢を持ち続け、川口北高校で培った文武両道、凡事徹底、自学自習の精神、また「チーム川北」として身に付けたコミュニケーション力などに一層磨きをかけ、自分の持つ限りない可能性をさらに引き出していってほしいと思います。
二つ目は、私と同様に、これから川口北高校が母校になる皆さんの今までの頑張りを称えたいと思います。皆さんの中学三年生の時を思い出してみてください。志望校を決めるために、たくさんの学校説明会などに足を運び、川北を選んでくれました。そして、入試を突破するために塾に通ったり、夜中まで勉強したりして頑張りました。その結果、晴れて川北に入学することができました。あの時の合格の喜びは、今でも忘れられないものではないでしょうか。
その後、皆さんが四十八期生として入学してからは、中学校との違いに戸惑い、勉強と部活動の両立に悩んだ人もいたでしょう。そんな時、苦しいながらも友達や家族、先生たちがそばにいたことで、頑張れた人がいたと思います。また、新型コロナウイルスが流行っていたことで、多くの制限があり、マスクの着用も当たり前でした。友達の顔がよくわからず、新しい友達を作ることに苦労した人もいました。しかしそんな中でも、皆さんは勉強や学校行事に全力でぶつかっていくことができたと思います。
高校三年生になってからは、受験本番の一年として、本当に多くのプレッシャーと闘いました。文武両道を貫き、最後の引退の時まで部活動に熱心に取り組んだ人、薄暗い早朝から夜遅くまで学校で勉強した人、補習や予備校の講習に毎日欠かさず時間を費やした人、夏休みには一日十時間以上も机に向かった人、高校生活の最後に思いっきり文化祭や体育祭に力を注ぎこんだ人など、皆さんの頑張りは本当に素晴らしかったと思います。大学入試の結果が続々と入ってきましたが、あくまでも人生の通過点です。これからの人生をより良いものにするため、今までの自分の頑張りを信じて、今まで以上に熱く、何事にもチャレンジを続けてください。皆さんなら絶対にできるはずです。
川口北高校の第四十八期生として入学した皆さんも、いよいよ今日旅立ちます。川口北高校の卒業生としてのプライドを持ち、社会に出てからも困難に立ち向かい、大きな夢を持って、明るく、元気な社会の一員になることを期待しています。
保護者の皆様に、お祝いとお礼を申し上げます。お子様の御卒業、誠におめでとうございます。十八年間お子様を大切に育て上げ、喜びもひとしおのことと思います。お子様たちは大変立派に成長しました。三年間にわたり、本校の教育の充実、発展のために温かい御支援、御協力を賜りまして厚く御礼を申し上げます
結びに、本日、御臨席を賜りました御来賓の皆様にお礼を申し上げますとともに、卒業生一人一人の将来に幸多からんことを心から祈念して式辞といたします。
令和六年三月十六日
埼玉県立川口北高等学校長 高松 健雄